むねの奥がじーんとする/百(ももと読みます)
 
と、ぼくもいなくなってゆくのです。



 この場所に、ずっと、ぼくはいなくて。それでも、もっといてくれて。きみがいて、あなたもいて、ありがとうって、土曜日の図書館で数学の本をお借りしました。



 曲線を描いた壁と天井との淡いや本の国へと駆けあがってゆく子どもたちのころころとしたくつの音。時計の針は、もうすぐ四時をさすところで、ぼくは地味で可愛そうなくらい虚無で無垢で、いなくて暗くて笑っていて。



 なにもないよりなにもないくらい、なにもなくて。生きて生きて生きて、いいなあって、いないいないより、生きてっていいよなぁって、目蓋を閉じたり開けたりして、なにもないまま過ごしています。



 むねの奥がじーんとする。センチメンタルなながれをとめるな、ぼくは最後にいったりたい。

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