ぼくのお城としての書きもの/百(ももと読みます)
 
ない。



 ふと、先月までお付き合いしていたぼくのはじめての恋人について想う。



 ひとりひとりのいるセカイに孤独なんてどこにあるのだろう。アパートメントの壁の向こうにひとがいて、鳥もさなぎも亀も仔犬もみんなみんな生きている。



 子どもを産んでもそうでなくとも、繋がる命がイブとして存在しているセカイがここだよ、そこに楽園があるのだよ。



 倖せだねって煙草をふかす、ぼくの知らなくなった恋人は、きっとどこかで煙草すっている。ぼくは煙りを巻いて、飛びたつ気分で横になる。セミダブルのお布団は、どう考えてもひとり分だ。



 ぼくのお城としての書きもの。いつかお城をでて、神殿の柱となれるよう精進してゆきたいこころ。



 ゆっくりとゆっくりと目を閉じる。

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