それが俺が耳にした歌なら/ホロウ・シカエルボク
 

朽ちた動力機関のような感情を抱えていた秋と呼ぶには暑過ぎる日の午後、思い出すことも思いつくことも度を越えていて俺はもしかしたら自分自身にとり憑かれているのではないかと心配になるくらいだった、雲はちぎれながら速く流れ、太陽はオーブンのように皮膚を焼いていた、乱雑な前衛音楽のような景色だった、不協和音の一歩手前で音として成立させている、そんな…経でも唱えることが出来たら少しは身軽に感じるのかもしれない、でも当然俺自身にそんな素養は無く、ロクでもないことは必ず忍び足で後ろからやって来てはへばりついた、そんなことにはとっくに慣れっこだった、それが良いことか悪いことかはわからないけれど、とにかく俺はそん
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