円谷幸吉/花形新次
 
上滑りしている
おまえの言葉には
魂の欠片もない
薄っぺらいペラペラの
スーパーの広告みたいに
何のことはない風に
吹き飛ばされてしまう

遺書を書いてみろ

贈って貰った食べ物のお礼を
ただつらつらと綴っただけの
円谷幸吉の遺書が
一編の詩のように
俺達の心に突き刺さったのは
円谷の言葉がこれ以上ない重さで
彼の精神状態を
表していたからだ

それに比べて
おまえや俺のこの
言葉の軽さよ!

恥ずかしいと思ったら
空想の中で
死ぬことだ

何度も何度も
死んで
死んで
死んで
死んで

それから
残しておきたいと思ったことだけを
言葉にするんだ

それでも
碌な自称詩にしか
ならねえだろうけどな、ケッ






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