たもつ『父の献立』鑑賞 /室町 礼
』には色褪せた短編映画をみるよう
な軽さとかなしさがあった。
これを題材にわたしがショートフィルムをつく
るとすればこんなストーリーの映画だ。
火急の用事があって母親が家を一日留守にする
ことになり、(母の不在)
父親がめずらしく「よぉ〜し、きょうはオレが
おか
あさん代わりにおいしい夕飯をつくってやるぞ」
と息子に向かって腕まくりする。(〈海〉=母
をみせてやるぞと期待させる)
メニュー通りに一分の隙もなく軽量して米と水
を適正に秤り炊飯器に入れて炊き上げるが、
息子はごはんを一口食べるなり眉をしかめる。
「お米研いだ?」
水と米の分量も炊飯時間も正しかったが父親は
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