思念の行方/積 緋露雪00
涯を超えてまで膨脹せずば一時も生き延びられないのであります。
世界に対峙するといふ事はさういふ事なのであって、
邪に満ちた世界に佇立する現存在は、
昼夜を問はず太虚を見上げては、若しくは虚空を見上げては
思念を宇宙の涯へと飛翔させ、
この脳と言ふ構造をした頭蓋内の闇の五蘊場に宇宙を丸ごと呑み込めなければ
世界に押し潰されるのみなのであります。
哀しい哉、現存在は此の世に比べれば塵芥に等しき存在でありますので、
思念で以てこの世界、否、宇宙を丸ごと呑み込まなければならないのであります。
幾世代の現存在がありまして、
此の世は何時も現存在を丸呑みしようと手ぐすね引いて待ってゐるのでありました。
然し乍ら、現存在は、それに対抗するべく、思念で以て此の世を丸呑みするのでありました。
その第一歩が私を思念が丸呑みする事なのでありました。
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