フリカゲル/熊倉ミハイ
 

占い師の群れが
水晶玉に吸い込まれていた
あの秋の夕暮れ
火鉢の中にしばらく住んで

時に焦げ臭い星を見上げる
ずっと同じ考えを持とう
そんな家に入りたかった
少年は雪に埋もれた腕時計を拾い
水の惑星と交信する
母乳の品質にケチをつけた父を思い出しながら
青くて赤くて白い雪を投げる
冷やかしは帰れ
やっぱ来てくれ
灯火の無い今日も

産毛を確認するハリボテの夜
煙草屋で出会った
もらい火をする浮浪の鵺
流星群には飽き飽きしました
そう言って万年筆のインクを棄てる
焔のような老婆も
切れた肌へフェードアウトしつつある

戻る   Point(3)