イーストビレッジの夜明け/歌留多カタリ
もはや後戻りはできない
孤独の味を舐めた事のない
連中の舌はいつも冷たいものだ
テーブルの涙が泥の川をちょっぴり
増水させたけれど
捏ね上げた泥船を
浮かべる気にはなれない
もう二度と互いが逢うこともない
例え満員電車の中ですれ違ったとしても
本当の関係性の正体ってやつは
きれぎれの言葉では口笛にさえならない
降り積もる灰の高さに
泣き言ばかりがすり替えられていく
世界中に立ちのぼる煙
不穏な空域と健康的な領地
濁った眼の奥の光彩に映りこむ
限りなく不明の薄空の向こう
しぶきを上げてあふれだす
キーを叩く無数の湿った指先
水際まで駆けていく人々の歓声
また憂鬱な朝がやってくる
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