待ってるガール/本田憲嵩
にかのように裂けてきて、こがね色に輝く太陽がその顔を覗かせた。その目映いひかりを一身にあびて、少女はまるでエチアルコールかなにかのようにどんどん揮発してゆく、こちらに微笑みかけて、ついにはその姿をかんぜんに掻き消して。彼女の手に握られていたてるてる坊主が、ポトリ、と、草の地面の上に落っこちた――。
――待ち人はもしかして自分だったのか??いやいや、そんなわけあるか。でも、ひょっとしたら?彼女の存在に気づいてしまい思わず声をかけてしまったから??そんなことを止めどなく考えながら雨の降りしきる家路を急いでいるぼくの掌の中には、彼女のあのてるてる坊主がしっかりと握り締められていた。
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