真実はまだまだはるか彼方に/足立らどみ
 
瞬間”を媒介に世界の真実を垣間見せる。
どちらも、矛盾の中に必然を見出す行為です。

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??五、詩人は「小さなヘーゲル」である

詩人は、
世界を一度「壊し(アンチテーゼ)」、
感情と理性の狭間で煮詰め、
新しい言葉で再構築する(ジンテーゼ)。

それは、ヘーゲルが説いた“精神の運動”を
個人の内面の中で再演する営みです。

ゆえに、詩人とは
「世界精神のスプーンを握る者」でもある。
ラーメンで言えば──

ヘーゲルがスープを煮込んだなら、
詩人はその一滴に宇宙の味を見出す。

だからこそ、
詩は哲学の“最後の言葉”であり、最初の沈黙でもある。

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