打弦幻聴録/ただのみきや
 
まさに 「 光よあれ 」
現実の創造に他ならず───

───だが次の瞬間から
剥奪行為が始まる
時間という魔物のいやらしい無数の手が
いっせいに群がって
猜疑心や恐怖心 
羞恥心などを刺激し
他者のことばや世間の眼差し
そんな鏡の歪みで認識を捻じ曲げ
無数の類似の事象を提示しては
感動から色を奪い鈍麻させ
たましいを唖にする
そうやって出来た綻びを見つけ出し
時間は手あたり次第に捲って摘んで引き剥がす
残された傷口の虚無を諦めの瘡蓋が覆い
忘却の蛆虫ばかりが無言のまま肥え太る

新鮮な気づきの感覚とそれを追う死者の五感
ぶれて重なった虚実の像
あるいは連
[次のページ]
戻る   Point(3)