ひらひら/guest
 

手探りのスイッチ
グレーのスーツにミジンコのネクタイ
含み笑いに気付かれないなら
忘れられたままで良い
と気付くまで
五年間
私は確かあなたと約束をしていた
果たすことが出来ないと
二度とお互いに
触れられないと思ったから
クリスマスローズの咲く
地球と呼ばれた星の底
人魚は大陸を去り
浮かぶ雲にふるさとを思う
人の王も神の王も
蝶の神も獣の子も
皆そっくりだった
巡り合った恋人みたいだった
綺麗、とあなたは言って
きっと私を見ていた
地球という名前の
大きなひとつの星に
綺麗、と言ったあなたと
一粒零した涙を見た
私は一人それに月を描いた
翻るシラーの
青だった
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