夢のうた/秋葉竹
悪夢から覚めたら
すべてが夢だったとの
夢をみさせて
厳しくない街なんてない
優しくない君がいないように
わずかばかりの運命の齟齬が
なにかを大きく狂わせるんだね
恋愛に溺れていられた
下心もケジメもないあっけらかんとした
そんなひどい時代だったかな
そのとき日常から覚めたら
きっと夢の中にゆけるんだと想ったりした
チキンステーキが好きで
キリンビールが好きで
セロリが嫌いで
君が世界で一番好きだった
なりすませるなら
君の恋するひとになりすましたかったな
けっきょく失敗するにしても
一瞬でもホントにいい
君の黄金色の恋心をひとりじめにしたかった
君はいつだって優しくて優しくて
なぜそんなに優しいのさ?
って尋ねたときの一瞬のためらいののちの
あの少しだけ悲しい言葉
『みんなが夢だって知ってるから』
今からでもかまわない
君の悲しみを霽らしてあげたい
だからくったくのない少し寂しい笑顔で
悪夢から覚めたら
すべてが夢だったとの
夢をみさせて
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