父と娘 蒼風薫/梅昆布茶2
ミモザの美しい頃に
父さんと手を繋いで
理由も知らず
バス停まで歩いたことは
覚えてるわけもない
わたしは二歳
父さんのの掌はきっと
わたしの小さな手に
この世で他には見つけられない
ぴったりサイズの温もりだったはず
この二つのパズルのピースはだけど
この時が永訣の春と
なったかもしれなくて
二歳は
どう思っていただろう
いつものように路傍の営みに気をとられ
温もりの意味も知らず
自分が人間だってことも知らずに
そして理由を
全く知らずに
知らないままバス停につき
そこには父娘としての終着駅から終着駅への
レールが敷かれた起点があるはずでもあ
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