しあわせ/◇レキ
 
あの頃の苦しみは燃え尽きた
膿も栄養も全部一緒に

それから抜け殻同然の空っぽになって
じんわり幸せだけ残った


小さな泉のように湧いている
弱弱しく
けれど無尽蔵に湧いている
生の深みから脈を打って僕まで続く


灰の下の熾火のように消えない
炎は無いけど内に確かな暖かさ
寒い日の父ちゃんに抱かれた安心感


秋の陽射しのように降っている
白く爽やかに
優しい強さで降っている
出会い、別れ、感謝する


それはただ在るもの
在ることに気づくもの
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