『exist's』〜霧子の朝に/洗貝新
 

 葉ずれがざわめき
          あれは風の悪戯だろうか

枯れ松が雑木林に姿をかえて
翠波はうつろう闇に身を隠している
湿気を帯びた月のない夜には
点字を探るように
朧気に支配されていく
細長い畦が分かれる狭い路地に向かう
不気味なのは暗いだけじゃない
野鳥の鳴き声が追いかけてきて
草むらから二つの眼が光る
              きいにわざりがれ
わたしを
無窮の地へ誘いだしたい 
            の様子にみえる                   
誘われるままに           手探りにみえる

何杯目かの珈琲を注ぐと
あたま
[次のページ]
戻る   Point(7)