『exist's』〜霧子の朝に/洗貝新
葉ずれがざわめき
あれは風の悪戯だろうか
枯れ松が雑木林に姿をかえて
翠波はうつろう闇に身を隠している
湿気を帯びた月のない夜には
点字を探るように
朧気に支配されていく
細長い畦が分かれる狭い路地に向かう
不気味なのは暗いだけじゃない
野鳥の鳴き声が追いかけてきて
草むらから二つの眼が光る
きいにわざりがれ
わたしを
無窮の地へ誘いだしたい
の様子にみえる
誘われるままに 手探りにみえる
何杯目かの珈琲を注ぐと
あたま
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