メモ?/道草次郎
 
「消しゴムのかす」

身を捩り(よじ)切り小さく蹲(うずくま)るように
春の日差し射す
昼ひなかの教室で

目立たぬよう
自分の中の
誤りの渦巻きが
何処かへ滲み出さぬよう
ひたすらことさらに
耐えている

お前の中で
お前の役割とお前の存在は
静かに美しく一つになっている



「船出」

もう 今限り無理かもしれない
そういう瞬間

「ありがとう」と
はっきりくっきり 云ってみる

すると
「ありがとう」が 
船出をする

ことばは
縁取るだけでよい 時もある

ぼくは
帽子をふり
小さな自分にお別れをした




「反パルメニデス」

何かが
囁く

ただ生きているだけでいいよ と
ただ存在しているだけでいい と
存在していなくてさえいいのだから と

生物の身震いは
じつにこの為だそうだ
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