全行引用による自伝詩 02/田中宏輔2
 
ニア・ウルフ『灯台へ』第三部・5、御輿哲也訳)

 そしてこれが──と、絵筆に緑の絵具をつけながらリリーは思う、こんなふうにいろんな場面を思い描くことこそが、誰かを「知る」こと、その人のことを「思いやる」こと、ひいては「好きになる」ことでさえあるはずだ。
(ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』第三部・5、御輿哲也訳)

空中に投げられた石にとっては、落ちるのが悪いことでもなければ、昇るのが善いことでもない。
(マルクス・アウレリウス『自省録』第九巻・一七、神谷美恵子訳)

哲学のわざは単純で謙虚なものである。
(マルクス・アウレリウス『自省録』第九巻・二九、神谷美恵子訳)

ぼくに
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