全行引用による自伝詩 02/田中宏輔2
 
・クンデラ『小説の精神』第三部・混同、金井 裕・浅野敏夫訳)

芸術においては、形式はつねに形式以上のものです。
(ミラン・クンデラ『小説の精神』第七部、金井 裕・浅野敏夫訳)

『プヴァールとペキュシェ』の第二部は未完のままに終わったが、この部分は主に『筆写』と称するもので成っている。これは、奇妙なこと、馬鹿げたことを記した文例、自ら愚劣なることを露呈した引用文を蒐めた一大資料集であり、これを二人の書記が大まじめで筆写するのは専ら自己啓発につとめるためだが、フロベール自身の意図するところは痛烈な風刺にあったにちがいない。
(ジュリアン・バーンズ『フロベールの鸚鵡』4、斎藤昌三訳)

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