全行引用による自伝詩 02/田中宏輔2
(…)当時、彼は父の農場で働いていたポーランド人の女中を愛していましたが、夢想のなかで自分がこの美しいひざの上に、女中となった聖処女のひざの上に坐っているのだと想像し、女中を聖処女に混同しているのでした。ところでその日、眼を閉じて再び聖処女を見たとき、彼は突然、彼女の髪がブロンドであることに気づきます!
マリアはエリーザベトの髪をしているのです! 彼は驚き、強い印象をうける! 彼の愛していないこの女性こそ、事実上、彼の唯一の、まことの愛であることを、神みずからがこの夢想を介して彼に教えているように彼には思われるのです。
非合理的論理は、混同のメカニズムにもとづいています。つまり、パーゼノー
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