雨宿り/秋葉竹
ない
女の子は弱くても泣いても優しければいい
そんな『性差別』全開の時代
働く、と云う言葉の語源は
「側(ハタ)を楽にさせる」なんだと教えられ
なんの疑問も持たずにそうありたいと想った
くちづけも知らなかった
怒りで人をあやめたいと想うこともなかった
拳をかためて壁を殴ることもなかった
『死』なんて永遠を超えても訪れないと想った
いつのまにやら獣のような鳴き声を憶え
冷たい爪で背中を引っ掻くすべも憶えて
雨音だけが空の水槽に聴こえる街に住んで
悲しみのあいまの微かな息継ぎも上手になり
そしてふと気づくとき、雨空をみあげる
ほおを流れる、雨の雫
そういえば、さいきん泣いてないなぁ
そういえば、さいきん雨宿りをしてないなぁ
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