きみたちはそれでも詩人というのか?/室町 礼
かどうかが点検される。保
守的な考えであればその人物は作品の出来栄え以前
に相手にされない。本来なら文学とはあらゆる意見
や思想を自由に交流交換させる唯一の場であったも
のが党派性に凝り固まって硬直している。こんなと
ころから一体、どんな小説や詩が生まれるというの
だ。作家や詩人がこの新技術社会の「自己統制」と
いうシステムに自ら真っ先にからめとられている。
だれもが話し方に気をつけ、沈黙が身の安全を守る
という世渡りの方法を身につけ、その代わりに思考
する能力を奪われている。頭でっかちがどれほど難
解な詩を書いても無駄だ。そんなものは何の意味も
持たない。世界を見失っているのだから。
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