あぱつ/にゃんしー
で
私たちは従った
私は自分のパンツに
「あべくん」
と書いた
どうしてか分からない
ただ面白いような気がした
話はここでは終わらない
なんとあっというまにあべくんが
パンツを失くしてしまったのだ
犯人さがしがはじまる
ほどなく私のパンツが見つかり
みんなに取り囲まれた
「あべくんと書いたのはぼくだ」
正直に白状した
「なんでそんなことするんだよ」
みんなは白い目でそう問い詰めてきた
(なんか面白いような気がしたから)
きっと理解してもらえないその言葉を
かみしめてあべくんを見た
あべくんは何も信じられなくなったような顔をしていた
あぱつ
と聞くたび私は
あの夏と
あべくんの顔を思い出す
まっしろいパンツにペンを下ろしたとき
わくわくした
あぱつ
それはおそらく私が
人生で初めて書いた詩で
あべくんは
私の初めての読者だった
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