夏の幻/
番田
太陽は光だ
この 黄色い 目の
塀の向こう側では電車が走る
耳には その
音が聞こえた
ベランダの中に
僕はいたのだ
風を感じた 僕は
僕の心の外を思うことで
この 目に 僕は知った
生きていたことを
地元の潰れたプールの水
そこで 昔泳いだ記憶
泳いだのだということだけを
僕は覚えている
あの日 最後に後にした
小学四年の 夏 だけど もう
そこに立った人のいなかった
プールは 今は
廃墟になっているのだという
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