I FEEL FOR YOU。/田中宏輔
 
いないにもかかわらず、できた作品を、その友人が目にして、「これは、オレと違う。」といったことに、ぼくがショックを受けたことにはじまるのである。すべての言葉が彼の言葉なのに、選択と配列が、他者によってなされたときに、本人の体験から、いや、その体験の「実感」から離れるという


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ことに、ぼくが、とてもショックを受けたのである。では、ぼく自身の体験も、ぼくがぼくの体験を想起し、状況を再現した気になって、体験の断片を抽出し、それを言語化した段階で、「創作」になっているということにならないかという気がしたのである。つまり、思い出しているという


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自分が考
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