I FEEL FOR YOU。/田中宏輔
うことだけれども。
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きみの天国がほしいと、ぼくは言う。きみは、ぼくの天国がほしいと言う。もしも、きみが、ぼくに、きみの天国をくれたら、ぼくは、きみの天国を食べちゃうだろう。もしも、ぼくが、きみに、ぼくの天国をあげたら、きみは、ぼくの天国を食べちゃうだろう。ぼくの口は、きみの天国
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を味わうだろう。ぼくの口が、きみの天国を食べると、きみの天国は痛がるだろうか。きみの口が、ぼくの天国を食べると、ぼくの天国は痛がるだろうか。きみの天国は、ぼくをかじる。ぼくの天国は、きみをかじる。ぼくたちの天国は、ぼくたちをかじる。ぼくたちの唇をかじる。
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