初サンマ/りつ
しそうな匂いが溢れる
どんどん期待が膨らみ
ごくりと唾をのむ
ぴぴぴ
良い感じにこんがり焼けたサンマに
大根おろしを添えて
いただきますももどかしく
ぱくり
ああ!
その陶然といったら!
こっくりとコクのある上品な旨みが
口に広がる
ゆっくり食べた
何年ぶりかの極上サンマを
余すことなく味わいたかった
ごちそうさまをしたくなかった
かなしかった
庶民のごちそう
極上サンマは年々遠くなる
豊かな海は
どこに行ってしまったのだろう
サンマの骨は
何も言わない
戻る 編 削 Point(6)