初サンマ/りつ
 
しそうな匂いが溢れる
どんどん期待が膨らみ
ごくりと唾をのむ

ぴぴぴ
良い感じにこんがり焼けたサンマに
大根おろしを添えて
いただきますももどかしく
ぱくり

ああ!
その陶然といったら!

こっくりとコクのある上品な旨みが
口に広がる

ゆっくり食べた
何年ぶりかの極上サンマを
余すことなく味わいたかった


ごちそうさまをしたくなかった
かなしかった



庶民のごちそう
極上サンマは年々遠くなる
豊かな海は
どこに行ってしまったのだろう


サンマの骨は
何も言わない
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