LIVING IN THE MATERIAL WORLD。/田中宏輔
った。正直、詩を書くことのほかには、なにもできない、汚らしい、ハゲ・デブ・ブサイクなオジンやと思っていたのだ。しかも唯一、自分にできる詩を書くことだって、世間的に見れば、変人以外のなにものでもないのだし。でも生きててよかった。
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死んでしまいたいと本気で思ったことも何度もあったし、しょうもない、ろくでもない人間だったし、いやらしい、せこい人間だったのだけれど、恋は、そういう自分をすこしでも変えてくれる力があるのだった。ぼくは詩や小説が大好きだけれど、それは人間が大好きだったからだと、あらためて思った。
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きのう、日知庵のつぎに、立ち飲み屋さんのH
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