LIVING IN THE MATERIAL WORLD。/田中宏輔
なくて、記憶が混乱していただけなのかもしれない。現実の自分の記憶とはちがう記憶、おそらく読んだ本や見た映画などによる潜在自我への働きかけが、偽の記憶を混入させようとしていたのだと思う。
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精神的な危機を、30代で味わったが、そういう混乱がなくなって、40代になって、作品は逆に混乱したものになった。「マールボロ。」のころであるが、現実をコラージュするだけで、非現実になることに気がついたのであった。
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また自分自身の現実だけでも、コラージュすると詩になっていったのだが、そこに、友だちなどの現実をコラージュすると、たちまち詩になっていったのであった。そ
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