LIVING IN THE MATERIAL WORLD。/田中宏輔
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嵐のような雨だった。きのうのように激しい雨はひさしぶりだった。台風が去ったあとのように、きょうは雲ひとつない天気になった。土曜日だというのに、妻は仕事に出た。お得意さんのクライアントの都合らしい。二人の子どもたちは、ボーイスカウトのキャンプに出かけた。家にいるのは
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わたしひとりだ。庭に出て、料理用鉄板に火をつけた。軒先に、ひょっこりとリスが顔をのぞかせた。料理用鉄板がじっくりと温まっていた。全身にオリーブオイルを塗って、ペパーソルトとバジルをふりかけた。空には雲ひとつない。さっき顔をのぞかせたリスも、どこかに行ってしまった
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