COME TOGETHER。/田中宏輔
 



芭蕉の「命二つの中に生きたる桜かな」という句がある。このこと自体は現象学的にも事実であろう。しかし、このことに気づき、言葉にして書きつけることは、認識であり、表現である。しかもその表現はきわめて哲学的であり、認識というものの基本原理となるものである。


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機械の腕は、卷ねじをタグに引っかけると、くるくると缶詰の側面から長方形を巻き取りながら、卷ねじでパキンと垂直に折った。そして、頭蓋骨をはずすと、脳を取り出して、缶詰のなかの脳と交換した。頭蓋骨をはめられてしばらくすると、ぼくの目がだんだん見えてきた。


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夢は彼女を吐き出した。まるでチ
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