COME TOGETHER。/田中宏輔
を飲まなくてはならない。ぼくたちは毎日、海の水を飲まなくてはならない。海の水もまた、毎日、ぼくたちを飲まなくてはならない。海はぼくたちでいっぱいだし、ぼくたちの身体は海の水でいっぱいだからだ。
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この水も、あの水も同じ水で違った水である。違った水だけれど同じ水でもある。ぼくの水とあなたの水も同じ水だけど、違った水だ。違った水だけれど、同じ水である。いくら混じり合っても、すっかり混じり合わせても、違う水だし、それでいて、つねに同じ水なのだ。
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窮屈な思考の持ち主の魂は、おそらく、自分自身の魂でいっぱいなのだろう。あるいは、他者の魂でいっぱいなのだ
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