どうせ迷うなら命を賭けて/ホロウ・シカエルボク
 

地面に落ちたふたつの実はもうどうすることも出来ないほど腐り果てていて、ああこのまま土に還るのだと…少し悲しい気持ちになりもしたけれど、でもそれは無駄なことではないのだと気付いてはっとした、それを食べるか食べないかなんて尺度で測るのはわたしたちくらいであって、かれらにしてみてばそんなことはどうでもいいのだ、土に還り、養分となって、また種を育て、命を継いでいく、それが彼らの目的なのだから―わたしはかれらに別れを告げていびつな森の奥へと歩みを進めた、遊歩道を逸れてからもう三十分は経っていた、まだ十六時くらいのはずだけれど、間もなく日が暮れるのではないだろうかというくらいに薄暗かった、足元は悪く、普通
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