青い青い水面に溶けこんでゆく、
眩暈、
ふたりの抱擁、
時計の長短針が、
零からいきなり三十になったように、
逆さまにはっきりと映りこむ、
ふたりの不定形、
まるで半透明のゼリーのように揺蕩っている、
水色の水影、
に、二人の意識はもうすでにシフトしている、
やがて、
水面に映る、
とても巨大な、
満月、
が、流れてきて、
そこに半透明な膜を張るように、
そのままふたりで、
ひとつになりながら、
きわめてゆっくりと、
覆いかぶさってゆく、
覆いかぶさってゆく、
まるで陶酔の結晶のような、
一匹の海月となって、
どこまでもどこまでもこの夜の世界を泳いでゆく――、