転向について/杉原詠二(黒髪)
丸山真男が戦中に国家迎合しなかったのは優れている。そして、自己批判をせよという主張も正しい。一方で、吉本隆明は、転向自体は仕方のないことだと言うのだが、責任があいまいになる恨みはある。自己批判せず、適当なノリでまたやっていこうぜ、というのは、軽薄すぎる。しかし、それぞれの人に考え方はあり、知識が完全に共有されていない状況を考えれば、後の人がそれを正しく明らかにしていけばいいだけだ。論によって、人格のすべてを批判し、尊厳を奪うような極度の態度をとるべきではない。
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