詩の植物園/ハァモニィベル
 
しながら
宇宙を生きることになったとしてもだ
いつまで経っても文なしの
胃袋付きの宇宙人なのでは
頭をかかえるしかない筈なのだ〈貘〉



地軸に近い何所かで 
うづもれた 世にも稀なる ひしやげた屋根の下
傷だらけの机の上の 
ひからびて やせこけた 哀れな人形の踊りを見守るように
歪んだ月が出て 水面の皺が にやにやと笑つてゐる。〈秀雄〉



樹はみどりだつた 坂の上は橙色だ
ほかに何があつたか 
もう思ひ出さぬ
すべてはぼんやりとした こはれた景色
坂の上に 空が遠い 〈民喜〉



ここは都会の大十字街 草蔓のやうにのびる街
すべての道路
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