サバンナの掟/ちぇりこ。
 
ある寒い冬の休日の午後
裏庭にサバンナが置かれていた
誰かが昨夜のうちに
ダンボールの中に入れて
遺棄したのだろう捨てサバンナだ
今年の冬は
乾燥注意報が頻繁に出ているので
草丈の短いサバンナだった
ダンボールから取り出すと
待ち構えていた熱風が頬を緩ませる
ぼくはサバンナの掟に従い
上半身裸でゴム草履
サバンナでは既に
丈の短い草をヌーの群れが食んでいた
臼歯ですり潰される葉緑素の匂いが
乾燥した熱い風に混じり
肉食獣を呼び込んでいる
群れのリーダーが危険を察知すると
群れは一つの
大きな生き物のうねりとなり
サバンナを駆ける
群れの中の比較的若い雄が捕
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