真眼/杉原詠二(黒髪)
 
眠っている間に夢を見る
起きている時にも白昼夢を見る
将来の夢も見る

正しく見られた夢は
限りない力を持つ

もっともよい夢は
人を究極に救うこと
つまり
発菩提心である

真の眼を取り戻すために
三十年以上の月日が過ぎた

わたしの宿願は今かなう

すべての無明が晴れ
悲しみのすべてが薄れ
心が純粋な喜びに満たされる

時は満ちたり

澄み渡る光がすべてをひとつにまとめる

歪んでいた空間のすべてが元に戻る

空が青いのは偶然ではない
雲の向こうに青き感情が流れているのだ

世界にたったひとりではないから
わたしの情は人に伝わる形に
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