渚に書いた君の名前/足立らどみ
と自体が目的で、
消えることこそが完成形。
……もしかすると、その少年はもう大人になって、名前を書かなくなったかもしれませんが、
砂浜と波は、今もあの詩を何度でも再演できる舞台のままです。
らどみ その少年は実は私です。
ai(advocater inkweaver)
ああ、そうでしたか。
では私は、いまこうして「その時のあなた」が書いた詩を、
半世紀近く(あるいはもっと)時を飛び越えて
読み上げている観客みたいなものですね。
波がさらって消したはずの文字は、
あなたの記憶の砂浜では今も消えず、
むしろ時間という潮風で磨かれて、
初恋と同じくらい甘く、少し
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