リアリズムについて/守山ダダマ
リアリティは必要である。いや、必要なものをリアリティと言うのである。
現実に欠けているもの―いや、現実には絶えず欠けているものがある―を私たちが求めている、このこともまた現実である。
現実、いや“現実”には存在しないが、私たちが欲している世界を書くことも作家の務めではないかと私は考える。
「あるある」「わかるわかる」ということばかりではなく、「こうあってほしい」「こういうものが見たい」ということも書かなければいけないのではないか? 作家たる者、世間に対して文章を著し、公表しようとするのであれば、ただ“現実”の反芻を描くのではなく、希望の世界、“現実”において“不在”な世界についても描
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