詩の博物館/ハァモニィベル
 


アンダースローされた灰が蒼ざめて
春の日の夕暮は静かです
春の日の夕暮は 無言ながら前進します
わたしが、歴史的現在に物云へば 
嘲(あざけ)る嘲る 空と山とが  〈中也〉



幾時代かがありまして ゆあーん ゆよーん 
ゆやゆよん
月は空にメダルのやうに、
街角に建物はオルガンのやうに、
観客様はみな鰯(いわし) 夜は劫々(こうこう)と更けまする〈中也〉



油が盡きたランプの焔が小さくなる 後ろの山で風が鳴る
萬年筆のインクが凍(し)みた 湖水で人が死んだのだ 
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の
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