詩の博物館/ハァモニィベル
心臓のように眠らない つかれた心よ
つかれた心よ よく眠れ
夜をよく眠れ 寂しい心よ
いぢらしい心よ さあ
みじめな運命をさすっておくれ〈朔太郎〉
心象の灰色は きれいに光りながら
燃え落ちる、燃え落ちる 空の遠くで
いちめんの いちめんの ぎらぎらの丘は
ひかりの底を しづんでくる
この諂曲(てんごく)模様が 碎(くだ)ける歯軋(はぎし)りを往き来して〈賢治〉
老いた人たちの身ぶりのやうに
やがて 秋が 来るだらう
秋がまた たたずむ と
秋は ふたたび 夕暮れになる
あらはな影を 夜の方に投げて 〈道造〉
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