White Surface Time/ひだかたけし
暮れなずむ夏の大空を仰ぎ見ながら
君と長く緩やかな傾斜を共有し
三鷹台の坂道を登っていった
あの時、何一つ言葉交わされなく
それぞれがそれぞれへの想い
それぞれに拡がり互いに響き来て
温もり浸透確かに交わり合い、無言
緩やかな傾斜の果て辿り着いた頂きで
よろけそうになった君の身体を支えた瞬間、
両手に感じた君の熱、すっと消え去る君の重み
*
剥き出し黄土の防空壕跡は無機質なコンクリート壁で覆われ
訪れた三鷹台はもう遠く 既に遥か現世の想い出
けれどもあの瞬間瞬間に包み込まれた想い温かみ
巨大化する資本に呑み込まれる前の魚屋や八百屋の賑わい
君
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