木は逆立ちをし、闇は闇を止みてしまい、主はパスをお受けになられる/菊西 夕座
地に足をつけろと人はいうが、どっしり根をおろしている木でさえ
地につけて広げているのは手のほうだった。
というのも木はけっしてお手上げ状態ではないし、
尻上がりに高くなっていくばかりか、
靴なんかはかない緑の足はみんな葉だし。
逆さまにおつくりになられたのは木だけではなかった。
主は最初にパスを受けられた。
闇と止みが申し分なく統一されていたはずなのに、
闇は闇であることを止みてしまった。
実際は闇であるままで止まっているのだが。
止みてこそ真の止みになれるという止みの本質を無視できなかった。
といってはじめから無であった闇が闇を止みることは不可能だから、
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