夜鶯の声/matirius
 
夜鶯の声

詩人よ
あなたにどうしてわかるのか?
このおそれが、生殺与奪を
すべて、人の皮をまとった
獣に握られてある、このおそれが?
勇猛も雄弁も
嘘も不敬も空涙も
木々のうろよりも鬱蒼として
冥府よりなお暗いその胸のうちから
溢れ出て、空しく地に落ちた
もの言う私の舌と
人倫の静謐な安らぎと
かわいそうな幼子とを
道連れにして

劇作家よ
私はもう一言だって言えやしないのに
あなたはいつまでもぺちゃくちゃと
古い物語を掘り返しては
身の毛もよだつ雄弁で
私たちから何度も舌を奪って
劇場に押し寄せる木のうろどもの
空しい悪食を埋めてやっている

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