光の遣い/ひだかたけし
 
アゲハ蝶の華麗なタッチ、
触れるか触れぬか
微妙な脚使いにて枝に留まり
優雅ゆっくり開閉する羽の艷やか
光の国から飛来しては
光の国に焦がれ咲き開く花の密吸い上げ
またその流れる如き色彩はためかせ
光の国へと舞い上がり還っていく

 赤暗く染まった空 、
  茫洋と満遍なく
  拡がり包み込む
 罅割れた街並み 、

この地を後にし静やかに
予め終わりを織り込まれた
下界に育まれる果実だけ携え
その華麗な姿の次第に薄っすらと
陽光と同化しつつ
終焉近付く大地から立ち去り

頼れる鋼鉄の和らぎを取り戻し
叡智は光のなかにあると
舞い飛ぶ姿の華麗な軽やかさ
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