草野心平に捧ぐ/多賀良ヒカル
 
漆黒の墨汁が

硯の上ではさらに黒い

白い穂が墨をたっぷりと吸い

今にも爆発しそう

焦るなと息と整えると

骨盤が立ち、

背筋の糸で上に引っ張られる

筆の感触は綿を包んでるようだ

半紙の白い反射が眩しい

ワタシに負けない字を

ここに書くとはいい度胸ねと

鼻で笑われる

ワタシは渾身の力と勇気を絞り

筆先を振る舞う

垂直に筆を突き落とす

もう誰もその動きを止める事は出来ない

一気呵成に終える

上虚下実と

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