量産型AI自称詩5/花形新次
ライムの切り口が
舌に沁みる
真夏の この寒さの理由を
誰も説明できない
テーブルの上には
花瓶がひとつ
振り子時計の針が
遠い場所にいる誰かを指さす
ただそれだけの
無言の構造
涙は
理由のない重さで
頬を濡らし
ライムの酸味と混ざって
季節を誤認させる
この世界が
温度や距離や
時間を持つのは
いったい誰のためなのか
花瓶の水も
振り子の往復も
舌に残る青い苦さも
すべて
ぼくが考えつづけるためだけに
在るのだと
思いたい夜がある
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