COLORs/たもつ
 


○白めいた

色があった
君の白めいた指やその先
外海が言葉で満ちる頃
僕らは改札口で
無くしてしまった水棲生物の
欠片を探していた
でも本当は
最初からそんなものはなくて
僕ら自身が誰かの
記憶だったのかもしれない
終わりに向かうものと
始まりに向かうものが
交差するところ
冷たい列車が到着して
その後、にわか雨が降った
 

○桜

思い出してほしい
君に僕のことを
僕に君のことを
花びらと生きた春を
花びらと終えた春を
何故その色を選んだのだろう
桜のように呼吸をして
桜のように笑って

 
○風

君は風になった

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