地表を掻く光輪の波紋、無という物質/奥畑 梨奈枝
3歳頃からずっとなので、
どうしようもないことは
わかってるんです。
俺がつらいんやなしに
世界がつらいのであり、
俺が苦しいのではなしに
世間が苦しいのである。
皮膚が痒いんではなく
地表が痒いんです。
そんなことを言っても
比喩にもならんって
俺もわかってるんです。
俺は、
宇宙に行かなあかんねやけど、
光輪がありません。
地表を引っ掻く爪が要るけど、
そんなもんはありません。
やりたいことはすべて
比喩の中に
消えてまうんですよね。
脳には冷水を
首には蛇をぶら下げて
喉はバニラアイスを
肺はサラダ油を塗り
胃にはニ
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